(※2025年8月30日投稿)
こんにちは、中小企業診断士の辻本昂大です。
中小企業診断士試験に挑戦する際、多くの受験生が悩むのが“IT分野の学習対策”です。
特に1次試験科目のひとつである経営情報システムは、ITに馴染みのない人にとって大きな壁となります。
「経営情報システムは何から手を付けていいかわからない…」
「経営情報システムの参考書で対策しても、あまり理解できていないんじゃないか…」
と感じている方は多いと思います。
そこでよく話題に上がるのが、
「ITパスポートはどれくらい役に立つの?」
「基本情報技術者試験はオーバースペックではないか?」
という疑問です。
結論から言うと、資格取得は必須ではないものの、
ITパスポートの知識は必須級、基本情報技術者の知識があると大きく有利ということです。
ちなみに応用情報技術者試験までの取得となると過負荷すぎるので目指すのは現実的ではありません。
筆者は試験当時、システムに関して全くの素人でした
(現在でこそSEとしてシステム関連の導入に関わっています)が、
ITパスポートと基本情報技術者の資格のみで経営情報システムを79点獲得することができました。
そこで、
をご紹介します。
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資格保有者が分析した経営情報システム

問題の難易度は応用情報技術者に近い
中小企業診断士試験経営情報システムで問われる問題の難易度は、応用情報技術者と遜色ないレベルです。
特に年々難易度が上がっており、初学者が足切りされたり、ボトルネックになったりと厳しい戦いになっています。
範囲も基礎的な知識から応用知識、時事的な問題まで様々出題されます。
私も本番試験では、6割の問題が「見たことないやつだ…」となりました。
ITパスポートと基本情報技術者を持っていてこの惨状では、初学者の方は何から勉強していいかわからないでしょう。
中小企業診断士試験の教材のみで経営情報システム対策は不十分
初学者にとって、巷に出回っている経営情報システムの教材では対策が不十分です。
最も大きな理由として、
「経営情報システムの教材は応用論点から始まっている」
ことが初学者を混乱させています。
ほんと、基礎となる考え方を固めないと、イメージが全く湧かず、
自分が一体何の問題を解いているか漠然としたまま問題演習を続け、
本番の少し捻られた問題で散ることになるのです。
応用問題に対応するためには、ITパスポートの対策本を使い、基礎を積み上げることが重要になります。
初学者にとって経営情報システムが難しく見える理由
初学者にとって経営情報システムが難しく見える理由、それは
「IT分野に関するイメージが全く無い」
「IT分野特有の考え方が理解できていない」
という理由が一番大きいでしょう。
少し解説します。「IT分野に関するイメージが全くない」というのは、
皆さんアプリやWebサイトを使用するとき、どのように使用するかは考えることが多いですが、どのような過程で動いているか。ということは考えたことない方が多いと思います。
データベースからSQLで命令して… や、HTML・CSS・JavaScriptでWebサイトを表示して… みたいなことは一般の人は気にもしておらず、システムを扱う側しか考えませんよね。逆に、運営管理のようなイメージしやすい科目は、工場のレーンという過程を経て、車が出来上がる。こういうのは世間一般的にイメージしやすいですよね。
この日常におけるイメージの容易性の違いが経営情報システムを難しくしている1つ目の理由です。
2つ目が、「IT特有の考え方が理解できていない」ということです。具体的に解説しますね。
基礎知識がない状態で、PCは2進数(0と1)で動いている、だけ習っても、なんで?てなりますよね。これを納得できるまで理解しようとすると理論を深くまで勉強していくことになります。
しかし、受験生にそんなことをしている暇はないので、深くまで勉強せず、そういうもの!、と割り切っていきます。こういうことがシステムのお勉強って多くて。まあつまり、ほんとに丸暗記だけの勉強になっていくんですよね。基礎の理論が理解できていないので応用の利かない丸暗記知識ばかりで、試験や過去問で間違えても、何が悪かったのかわからないまま終わってしまいます。
ですが、これらの問題点はITパスポートの学習、基本情報技術者の学習を通じて徐々に改善されていきます。
ITパスポートが中小企業診断士試験に必須級な理由

筆者はITパスポートは中小企業診断士試験に必須級であると考えています。
なぜなら、ITパスポートこそが受験生の基礎作りに成り得る資格だからです。
更に、勉強期間自体もそこまで長くかかる資格ではないことから、オススメ出来ます。
ITパスポートが効率的に経営情報システムの基礎を固めることができる
ITパスポートは範囲がかなり広い試験になりますが、各分野の基礎理論だけを勉強していくイメージの資格です。
特に経営情報システムで最もイメージし辛い、テクノロジ系の解説が豊富であり、理解が効率的に進みます。
抽象的に感じていた内容が、生活レベルのイメージに落とし込んでいく感覚になっていきます。
更に、経営情報システムと相性が良いのが、試験範囲がほとんど被っていることです。
ハードウェア・ソフトウェアやネットワーク・セキュリティなど、最も苦戦する分野が丸被りしています。
IT分野が苦手な人にこそITパスポートがおすすめな理由
ITパスポートの特徴の一つとして、非IT経験者の方向けの試験であり、対策本も初心者にわかりやすく書かれています。
正直、経営情報システムの対策本とは雲泥の差ですね。
更に、1次試験に類似した選択問題式であり、試験難易度は低い部類に当たります。
しっかり学習すれば半月ほどで合格できます。
IT初心者の方が取得できたなら、大きな自信になるのではないでしょうか。
意外とこういう自信が選択肢の命運を分けたりもしますよね…
基本情報技術者は中小企業診断士試験に必要か?

筆者は基本情報技術者は資格として必要ではないと考えています。
理由は、経営情報システムがシステムを導入検討する(コンサルタント)側に必要な試験内容であるのに対し、
基本情報技術者試験はシステムを組む人向けの試験内容であるからです。
つまり、基本情報技術者試験におけるプログラミングなどの範囲は、経営情報システムでは必要ありません。
しかし、問題の難易度としては、問題演習に使うのはアリです。詳しく見ていきましょう。
資格取得は経営情報システムを武器にしたい方向け
前述した通り、基本情報技術者試験は試験内容が丸被りしているわけではありません。
しかし、8割程度は試験範囲を網羅していますし、
ITパスポートよりも深い理論が学べるので、間違いなく経営情報システムの役に立ってくれます。
基本情報技術者試験レベルの基礎を抑える、最も有利点が、
“初見問題でも正解に辿り着く可能性が大幅に上昇”することでしょう。
基礎がより固まるので応用問題に対応できるようになります。
私も本番試験では6割の問題が初見でしたが、79点を獲得できたのは基礎固めができていたからです。
更に、大きく自信もつくので、基本情報技術者資格取得まで達成できた方は間違いなく合格に近づくでしょう。
問題演習としては活用は必須級
問題演習としては、十分活用できると思います。
経営情報システムの問題集は出題範囲を全くカバーできていませんし、
よりシステム系の理解を深めるためには豊富な問題演習が必須になってきます。
基礎理論やプログラミングは必要ない
- 基礎理論
- プログラミング(B科目)
この2つは完全に勉強しなくて大丈夫です。
それ以外も細かい部分が出なかったりしますが、ほとんど経営情報システムと親和性がある分野なので割愛しますね。
中小企業診断士試験に活かせるITパスポート・基本情報技術者の勉強法

ITパスポートは最初に勉強する
ITパスポートは経営情報システムの勉強を始めるよりも前に勉強してください。
基礎を固めてから応用である経営情報システムに入るようにしましょう。
1日に2~3時間勉強できれば、2週間程度では合格ラインに到達することができます。
またできれば、ITパスポートの資格も取り切ってしまってください、そのあとの自信に繋がります。
使用するテキストは、このサイトで紹介されているのだったらどの本でも分かりやすく解説されていますが、

私は「いちばんやさしいITパスポート」を使いました。
イラストや図も多く初学者にとって一番理解しやすそうな教科書のため購入しました。
また、IT系資格全般に言えることですが、なるべく最新の参考書を購入してください。
トレンドや最新技術が1年単位で大きく入れ替わるためです。
問題演習には、「ITパスポート過去問道場」を使用していました。

このサイトが最も使いやすく、収録されている問題量が多いことで有名です。
ケータイでぽちぽち問題を解けるので、スキマ時間の勉強にぴったりです!
基本情報技術者試験の問題を解いてみる
ITパスポートが取得し終えたら、
経営情報システムの学習と同時に基本情報技術者試験の問題も解くことをお勧めしています。
なぜなら、経営情報システムの問題集だけでは全く出題範囲をカバーできていないからです。
基本情報技術者試験の問題が、経営情報システムの試験で出題されることも多いです。
基本情報技術者試験の問題演習はITパスポートと同様の「基本情報技術者試験過去問道場」で対策していました。
こちらも、同じく最も使いやすく問題量も豊富なサイトです。
時間の余裕がない人の勉強法
時間に余裕がない方でも、
ITパスポートの勉強は省略せず、問題演習を中心に実施してください。(資格の取得までは必要ありません。)
流れの一例としては
- ITパスポートの教科書を一読
- ITパスポート過去問道場で問題演習
- 経営情報システムの教科書を一読
- 経営情報システムの問題演習
という流れでも十分に得点を積み重ねることができます。
まだ、余裕がある方は経営情報システムの問題演習と並行して基本情報技術者試験の過去問道場も進めましょう。
まとめ:IT系資格は勉強しておくと中小企業診断士試験最短合格の近道に

巷にある経営情報システムの対策本だけではほとんど合格にたどり着くことはできません。
それだけ、範囲が広く、近年は難化している科目です。
ですので、ITパスポートや基本情報技術者を使い対策するのが最も効率的なのです。
ITパスポートは最初に勉強するべき
ITパスポートは経営情報システムを始める前に勉強してください。でないと太刀打ちできないと思います。
時間がない方でも、資格を取りに行く必要はありませんが、
ITパスポートの内容を抑えてから、経営情報システムの対策に入ってください。
基本情報技術者は全ての範囲が必要ではないが、活用できる問題が多い
基本情報技術者試験の解説本や過去問道場を使うことで、よりIT分野に対する理解が深まり、初見問題への対応力が爆増します。
ぜひ皆さん、これら資格を活用して経営情報システムの合格を手繰り寄せてください!